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尽くすと貢ぐは違います

尽くすと貢ぐ。両方とも誰かのために何かをすることでもあります。でも実際は尽くすと貢ぐでは、その性質は全く違います。

実際、尽くすは良いことかもしれませんが、貢ぐは決して良いことばかりではありません。一見その二つは全く同じようなものに見えるかもしれませんが、その違いをしっかり理解するようにしましょう。

今回は一見違いがわかりにくい、この尽くすと貢ぐの違いについて述べていきたいと思います。

「貢ぐ」とは

貢ぐは金品をあげること

「貢ぐ」とは金品をあげることです。お金だったり何か高価なものだったりなどを、特定の人にあげたり、定期的に渡したりすることです。

金額は人によって大小バラバラですが、いずれにせよ最低でも数万単位以上など高額なものになることがほとんどです。

貢ぐは何かしらの見返りを求める

貢ぐは、何かしらの見返りを求めています。一見、貢ぐはもらっている側だけにメリットがあるかのように思えるかもしれません。ですが実際は、貢ぐという行為には、渡す側も何かをもらっていることが大半なのです。

それは身体的な充足かもしれませんし、安心感かもしれませんし、孤独を紛らわせる事かもしれませんし、退屈しのぎかもしれません。何のリターンをもらっているかは人によって異なりますが、いずれにせよ、金品を渡すことの代わりに何かをもらうのが貢ぐという行為の特徴なのです。

つまり貢ぐという行為は、渡す側ともらう側で「交換関係が成り立っている」のです。一方は金品を渡し、それに対して片方は、心理的、物理的なリターンとして何かをもらう。このように貢ぐ、貢がれる関係は、暗黙の交換契約のようなものによって成り立っています。

そのためその絆は脆く、どちらかに不都合が出ればその関係は一瞬にして崩れ去ってしまうのも特徴です。

貢ぐは犠牲がある

貢ぐという行為には犠牲があります。

それは、経済的なものなのか、心理的なものなのか、時間的なものなのか、わかりません。

ですが、貢ぐという行為は決して双方にとって良いことばかりではありません。金品を渡す方も、その分自分の手元にお金が減るわけですからその分生活が苦しくなったり、またはそのお金を稼ぐためによくない稼ぎ方をしてしまうこともあります。また、心理的にも信頼を元にした関係ではないため、心が荒んでしまったり何かと落ち込んでしまったりします。

そしてそもそもそのような互いのためにならない関係を続けることは、時間的なロスにもなります。

いずれにせよ、何かしらの犠牲の上で成り立っているのが、貢ぐという関係になるでしょう。

「尽くす」とは

尽くすとは相手のペースで考えること

尽くすとは、相手のペースで考えることです。そしてそれは必ずしも金品を渡すことではありません。何かをしてあげたり、話を聞いてあげたり、辛い時に支えてあげたりなど、相手のことを思い、相手のペースで物事を考えることが尽くすということなのです。

どんなことをするのかは、相手の状況によって変わってきます。身の回りの世話をすることかもしれませんし、心理的なサポートかもしれませんし、仕事上でのサポートかもしれません。

どんなものだったとしても、その根底には、相手のためを思い、相手のペースで考え、相手が望んでいることをしてあげたいという気持ちがあるのです。

尽くすは見返りを求めない

尽くすは貢ぐと違って見返りを求めません。

仮に金品を渡すからといって、その代わりに何か心理的なものをもらったり、何かをして欲しいという気持ちはありません。尽くすは相手のことが心配、相手に幸せになって欲しいなど、相手のペースで物事を考えるのが特徴です。なので仮に見返りがないからといって、その気持ちや行為がなくなってしまうことがありません。

見返りがあるから尽くすのではなく、尽くしたいから尽くすというのが「尽くす」という行為の特徴です。あえて尽くされる側からもらうものとしたら「感謝」になるかもしれません。

尽くすは信頼関係がある

「尽くす」という行為には信頼関係があります。

何かをしてあげたい「尽くす」側と、してもらう「尽くされる」側の間に信頼関係があるのです。貢ぐ、貢がれる関係は信頼関係ではなく、利害関係です。貢ぐ、貢がれる関係は、何かを渡す代わりに何かをもらう。つまり双方にメリットがあるから一緒にいるわけです。

もちろん尽くす、尽くされる関係にも利害関係は多少なりともあるかもしれません。ですが根底には信頼関係があるので、仮に利害関係が一時的に崩れたとしてもその関係が終わってしまうこともないのです。

相手のことを思い、そしてその関係が信頼と感謝によって成り立っているのが、尽くすという行為の特徴になります。

まとめ

今回は尽くすと貢ぐの違いについてのべてきました。

一見、似た意味のこの二つの行為は全く性質が異なるものです。見返りを求めている以上、それは尽くすというよりは貢ぐです。何かをしてあげる代わりに何かをしてもらう。そういう貢ぐ貢がれる関係です。

尽くすは、それと違って見返りを求めず、そして信頼関係を元にしています。そのため双方が幸せな気分になりますし、そこには感謝と愛情があります。

尽くすと貢ぐ。その性質は全く違うことを認識するようにしましょう。

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